はじめに:「どのAIが一番“添削上手”?」を検証してみた
AIを文章の校正やリライトに活用する人が増えています。 でも実際のところ、AIツールによって“フィードバックのクセ”や“得意分野”に違いはあるのでしょうか?
今回は、以下の3つのAIツールを使って、同じ文章に対してライティングフィードバックをもらい、その特徴と違いを比較してみました。
比較対象となったAIツール
ChatGPT(GPT-4)
Grammarly(有料版)
文賢(日本語向けライティング支援ツール)
比較の観点は以下の3つ:
指摘の網羅性と精度
トーンや言葉遣いに対する提案の質
「書き手の意図」をくみ取ろうとする姿勢
実験:あるブログ本文を各ツールに渡してみた
以下は、あえて少し癖のある文章です。
「気がつけばまた朝になっていて、いつも通りコーヒーを淹れていた。まるで昨日と繋がっていないような気もするし、逆にずっと昨日が続いてるような、そんな曖昧な時間だった。」
1. ChatGPT の反応
「“昨日と繋がっていない”という表現が少し抽象的なので、もう少し具体例を加えると読者が共感しやすくなります」
「“曖昧な時間”という主観的な表現が文章の雰囲気に合っていて、詩的です」 → 全体的に“意図を尊重しつつ提案する”スタンスが好印象
2. Grammarly の指摘(英訳をかけたうえで)
時制の統一や句読点の使用について細かく指摘
“Ambiguous wording” として “曖昧な時間” に注釈をつけて改善案を提示 → 文法や構造面では非常に強いが、ニュアンスに弱い印象
3. 文賢 のフィードバック
「“まるで〜ような”の重複表現に注意」
「“そんな曖昧な時間”という言い回しは伝わりにくいかもしれません」 → 日本語ならではの“伝わりやすさ”に注目した指摘が多い
考察:AIの“フィードバックの癖”を見抜く
この実験から見えてきたのは、次のような傾向です。
ツール | 強み | 弱み |
---|---|---|
ChatGPT | 表現の意図を汲んで柔軟に提案 | 一貫性の基準がゆるめな場合がある |
Grammarly | 文法と構文に圧倒的に強い | ニュアンスや詩的表現に不向き |
文賢 | 日本語特有の“読みやすさ”に強い | 指摘がやや直訳的になることも |
つまり、どのツールも万能ではなく、「文章の目的」によって使い分けるのがベストだと感じました。
ノウハウ:AIフィードバックをうまく活かすコツ
意図を明示したうえで依頼する
「この文章はエッセイ調です」「情緒的な印象を残したい」など伝えることで精度UP
ツールを“比較対象”として使う
複数ツールでの差異を見比べることで、自分の表現の“ブレ”や“癖”が浮かび上がる
最終判断は“自分”で行う
AIの提案はあくまで“参考意見”。書き手の意志を手放さないのが大事
おわりに:AIに“委ねすぎず、活かす”という姿勢
AIツールは、確かに便利です。でも、「ツールごとに見ている視点が違う」ということを理解せずに鵜呑みにすると、逆に文章がちぐはぐになることも。
だからこそ、「どのツールを、何の目的で使うか」を明確にしたうえで、“自分の判断基準”を持ちながら使っていくことが重要です。
AIに文章を見てもらうことで、自分の表現を“客観視する”視点が持てる──それが何よりの収穫でした。